この時期になると、泉の森には「キャア、キャア」とうるさく鳴きながら群れで飛ぶ、
緑色の大きな鳥が多く見られるようになりますね。
他の時期にも見られることはありますが、冬に多くなるようです。
よく来園者の方に「あの鳥は何?」と聞かれるのですが、
あの鳥たちは外来種のワカケホンセイインコです。
昨年も紹介しましたね。
▲群れで飛ぶワカケホンセイインコ(インコ科)
この写真には22羽が写っていますが、この日は30羽くらいの群れでした。
昨冬はもっと大きな50羽くらいの群れを見ていますので、この冬もそんな大群にお目にかかるかもしれません。
尾が長くてカッコイイですが、日本の自然の中では違和感のある色ですね……。
▲こなら広場に集まるワカケホンセイインコ
インコたちは最近、しらかしの池北側(しらかしのいえ東側)の
通称こなら広場のコナラの木にいることがよくあります。
▲ワカケホンセイインコのオス(右)とメス(左)
この鳥のオスは喉にリング状の黒い模様があります。これが名前の「輪かけ」の由来です。
ただし最近見た群れはメスばかりで、たくさん撮った写真をよ~く探しましたが、
写っていたオスは上の写真の1羽だけでした。
いや、黒い輪っかは成熟しないと出ないでしょうから、若いオスは混ざっているのかもしれませんね。
夜は集団ねぐらを形成し、東京・大田区のねぐらには1000羽以上が集まるのだとか。
国立環境研究所のホームページの「侵入生物データベース」によると、
ワカケホンセイインコの原産地はインド、パキスタン、スリランカ、
繁殖期は4~5月と7~8月の2回、営巣場所は高さ20m以上のケヤキの樹洞などだそうです。
また日本鳥類保護連盟のホームページによれば、発信機を取り付けての行動調査で、
大和市のワカケホンセイインコも夜は大田区のねぐらに行っていることが分かっているとのこと。
▲ムクノキに集まるワカケホンセイインコ
上の写真は、しらかしの池を臨む展望デッキのところにあるムクノキに集まっているところです。
私は食べたことがありませんが、ムクノキの実(果実)は人が食べても甘くておいしいらしいです。
(衛生上の問題がありますので、落ちている実を食べるのはやめましょう)
ムクノキにはヒヨドリやツグミなども実を食べに来て、彼らは実を丸飲みにするので
種(種子)が糞の中に混ざってあちこちにばらまかれます。
こうやってムクノキなどの植物はその分布を広げてきたのですね。
しかしワカケホンセイインコは実を食べず、中の種だけを割って食べているように見えます。
つまりワカケホンセイインコはムクノキの種子散布には貢献していないようです。
もちろん他にも種を食べる鳥はいるでしょうが、ワカケホンセイインコのような大きな鳥は
その食べる量も多く、しかも大きな群れでやって来ますから、ムクノキにはたまったものではありませんね。
▲サクラの枝にとまるワカケホンセイインコ
この個体はサクラに来ていました。
冬芽をついばんでいましたので、来春の花の量に影響がないことを祈るばかりです。
ワカケホンセイインコはペットとして飼われていたものが大量に逃げ出したり捨てられたりして
日本に住みついてしまった外来生物です。
外国から持ち込まれた生き物がすべて日本の自然の中で生きていけるわけではありませんが、
中にはこの鳥のように大繁殖して生態系に影響を及ぼすものもいます。
家庭で飼育や栽培している生き物は責任をもって最後まで育てることが大切です。
それをできない人は生き物を育てる資格はありませんよね。