秋の長雨という言葉がありますが、それにしても今年は降りすぎだと思いませんか?
しかし昨日は久しぶりに太陽が顔を覗かせましたね。
そんな昨日、水辺を歩いてみました。
湿生植物園でたくさん花を咲かせているのはミゾソバです。
そのミゾソバにたくさんのチョウが蜜を吸いに来ていましたよ。
▲ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)のメス
メスの前翅(まえばね)の先が黒いツマグロヒョウモン。
以前は関東地方にはいなかったチョウですが、南(西)の方から分布を拡大してきました。
同じようなチョウにナガサキアゲハ、クロコノマチョウ、ムラサキシジミなどがいます。
▲ツマグロヒョウモンのオス
こちらは同じツマグロヒョウモンのオスです。
オスは前翅の先が黒くありません。
▲テングチョウ(タテハチョウ科)
頭部に天狗の鼻のような突起があるテングチョウ。
翅がボロボロですが、このチョウは成虫越冬なので、このまま長い冬を乗り切らねばなりません。
▲キタキチョウ(シロチョウ科)
黄色が鮮やかなキタキチョウ。
このチョウも成虫越冬です。
▲ウラナミシジミ(シジミチョウ科)
翅の裏の波模様が美しいウラナミシジミ。
暖かい地方に棲むチョウで、毎年、南のほうから勢力を拡大してきて秋に多く見られます。
しかし関東地方の冬はこのチョウには寒すぎて越すことができず、すべて死んでしまいます。
地球温暖化が進めば、いずれ関東地方でもこのチョウが冬越しできるようになるでしょうか?
▲ベニシジミ(シジミチョウ科)
オレンジ色のベニシジミ。
幼虫はギシギシやスイバなど、タデ科の植物を食べます。
蓼(たで)食う虫も好き好きということわざがありますが、蓼とはヤナギタデのことだそうです。
同じタデ科のギシギシやスイバはどんな味がするのでしょうか?
▲イチモンジセセリ(セセリチョウ科)
後翅に白い紋が一文字に並ぶイチモンジセセリ。
この時期もっとも数が多いチョウかもしれません。
たくさんの個体がミゾソバの花蜜を吸いに来ています。
▲チャバネセセリ(セセリチョウ科)
後翅の小さな白い紋が弧を描いて並ぶチャバネセセリ。
イチモンジセセリと似ていますが数は少ないです。
▲アオスジアゲハ(アゲハチョウ科)
透き通った水色の筋が綺麗なアオスジアゲハ。
この写真だけ昨日撮ったものではありませんが、アオスジアゲハもよくミゾソバに来ています。
せっかくですからチョウ以外の昆虫も紹介しましょう。
▲クロホウジャク(スズメガ科)
ホバリング(停空飛翔)しながら蜜を吸うガの仲間、クロホウジャク。
どちらかというと夕方、薄暗くなってから活発に活動するガですが、この個体は日中に活動していました。
▲クマバチ(ミツバチ科)のメス
胸に黄色い毛が生えている大きなハチ、クマバチ。
左右の複眼がオスでは接し、メスでは離れますので、これはメスです。
クマバチも成虫で越冬します。
いかがでしたか?
この時期は花が少ないので、水辺にまるでじゅうたんのように密生するミゾソバにはたくさんの昆虫が訪れます。
天気の良い日に泉の森にいらっしゃったら、ミゾソバと虫たちを観察されてはいかがでしょう。