グリーンアップセンターに勤務する鈴木宣夫に「菊」を語らせるときには覚悟しなくてはならない。
話は当分、終わらないからだ。
平成25年に行われた「第49回 一般社団法人全日本菊花連盟 全国大会 砺波大会」で鈴木が
丹精こめて育てあげた“だるま作り”が内閣総理大臣賞を受賞した。
3つの花は均等に黄金に光り輝き、こんもりとした質感を保っていた。
その菊を審査会場に持ち込んだとき、審査員から驚愕の声が上がった・・・。
“だるま作り”は他の菊作品を圧倒し、見事に内閣総理大臣賞を受賞した。
鈴木の菊の栽培を間近で見ていると、菊という植物を介して科学の実験をしている気分になる。
全国大会に合わせて菊を咲かせるめ、また全国大会の菊の規格に入るようにするために、逆算で
菊の手入れをする時期が決められていく。
だるま作り(7号の鉢植えを使用し、3本の幹を立てる、底から花の上まで高さ65cm以内)であれば、
7月下旬に鉢上げ、5月に挿し木、肥料をやる日、薬剤を散布する日も決まっていく。
綿密な計画の下、育てられた菊は植物の本来の輝きを最大限引き出され、ある意味、無機的とも
言える造形美を作り出す。
平成5年から当財団に勤務し、これまでの間に様々な植物の栽培を行ってきた鈴木が菊の栽培を
始めるきっかけとなったのは、平成15年、16年にグリーンアップセンターで行った「福助作り教室」だ。
福助は5号鉢で作る高さ45cmほどの小ぶりの菊づくり。鈴木が講師となって、生徒とともに福助を作った。
これがきっかけとなり、菊作りが本格化する。
平成18年福井県敦賀市での第42回大会で、だるま作りが内閣総理大臣賞を受賞し、平成25年にも
「第49回一般社団法人 全日本菊花連盟 全国大会 砺波大会」で内閣総理大臣賞を受賞した。
昨年、全国大会に行く前に「内閣総理大臣賞を取ってくる」と自信満々に出かけていった鈴木。
9月9日は重陽の節句。
菊の季節が本格化する。
これからの菊の時期に向けて、鈴木の熱い挑戦は続いている。