フユシャクという蛾(が)をご存知でしょうか?
冬に活動するシャクガ(幼虫が「尺取り虫」の蛾)の仲間の総称で、
日本には35種がいるそうです。
フユシャクに共通した特徴は、
口が退化していて成虫は一切餌を食べないということと、
オスは飛べるものの、メスは翅が退化していて飛べないということです。
そんなフユシャクですが珍しいものではなく、
泉の森にも何種類も暮らしています。
▲ウスバフユシャクの交尾(左がメスで、右がオス)
ご覧のようにフユシャクの雌雄は同種とは思えないような姿をしています。
それどころかメスは蛾にすら見えませんよね。
羽化したメスは木の幹などを登り、フェロモンを出してオスを呼び交尾します。
柵などがあるとそこへ登ってしまうメスがいるので観察しやすくなるんですよ。
またオスは街灯などに来ますので、そういう所を探すと見つかります。
ということで、私が泉の森で撮影したフユシャクたちをご紹介いたしましょう。
▲ウスバフユシャク(シャクガ科)のオス(左)とメス(右)
上の交尾している写真のウスバフユシャクです。雌雄ともに地味ですね。メスは完全に無翅です。
このあたりでは12月から2月にかけて見られるとのことです。
12月下旬には一晩に10組以上の交尾が見られました。
▲イチモジフユナミシャク(シャクガ科)のオス(左)とメス(右)
イチモジフユナミシャクはメスが緑色で綺麗ですね(黒い個体もいます)。
樹皮に生える地衣類に擬態しているようです。
このあたりでは12月から1月に見られるとのことですが、今年はそろそろ終わりのようです。
▲ナミスジフユナミシャク(シャクガ科)のオス(左)とメス(右)
ナミスジフユナミシャクも雌雄ともに地味です。メスはフユシャクにしては大きな翅ですが、やはり飛べません。
このあたりでは12月から1月に見られるとのことですが、泉の森では最近になって姿を見せ始めました。
▲シロオビフユシャク(シャクガ科)のオス
シロオビフユシャクはまだこのオスしか見たことがありません。
このあたりでは12下旬から現れ、2月上旬ころまで見られるそうです。
▲チャバネフユエダシャク(シャクガ科)のメス
チャバネフユエダシャクのメスはその姿から「ホルスタイン」の異名を持ちます(無翅です)。
このあたりで見られるのは12月から1月上旬までだそうで、もう終わってしまったようです。
私は12月末から観察を始めたので、オスを見逃してしまいました……。
▲クロテンフユシャク(シャクガ科)のオス
今季はまだ見ていないのですが、ウスバフユシャクに似ている
クロテンフユシャクは12月から3月まで、長期にわたって見られるフユシャクです。
このほかにクロスジフユエダシャクというのもいますが、12月中に終わってしまう種で、
これも見逃して、というか撮り逃してしまいました。
そのクロスジフユエダシャクはフユシャクの中では珍しい昼行性ですので、
12月ころにチラチラ飛ぶ小さな蛾を見たことがある方はクロスジフユエダシャクだったかもしれませんね。
ほとんどのフユシャクが夜行性なので交尾を見ようと思ったら夜間観察しかないのですが、
オスは街灯に飛来してそのまま日中もいることがありますし(今回のオスの写真はほとんど昼間撮影しました)、
メスも時どき日中に見られることがありますよ。