梅雨明けしたというのに、すっきりとしない天気が続きますね。
さて、森を歩いていて、こんな光景を目にしないでしょうか?
▲地面に落ちるたくさんのクヌギの枝先
強い風でも吹いて、枝先がちぎれ落ちたのでしょうか?
それにしては樹種が限定されています。
一つひとつを見るとこんな感じです。
▲クヌギの枝先
そして切り口を見てみると……
▲落ちたクヌギの枝先の切り口
まるで刃物で切ったような切り口ですね。
落ちている枝先には必ず若いドングリが付いているのですが、
それをよく見ると……
▲ドングリに開いた穴
穴が開いているのです(ふつう穴は1つです)。
実は、これらの枝先を落としたのは虫なのです。
この枝切りの犯人がこちら。
▲ハイイロチョッキリ(チョッキリゾウムシ科)
体長8mm前後のハイイロチョッキリという、ゾウムシの仲間の虫
(ゾウムシの体長には口吻を含めないので、口吻を入れれば1cmを超えます)。
この虫のメスがクヌギやコナラのまだ青いドングリに口吻を突き立てて穴を開け、
その穴の中に卵を産んだ後、ドングリの少し後ろの枝の部分を切るのです。
卵からかえった幼虫はドングリを食べ、大きくなるとドングリから出て、
土の中で蛹になります。
今はまだコナラのドングリが小さいので、落ちているのはクヌギの枝先ばかりですが、
これからコナラの枝先も落ちるようになるでしょう。
それにしてもたくさんの枝先が落ちているので、
ハイイロチョッキリもたくさんいるはずなのですが、
木の上で暮らしているせいか、姿を見ることはほとんどありません。
高木ばかりの泉の森ではなおさらです。
初夏の頃に地中の蛹から羽化した成虫が、
木に登る前に地面付近をうろうろしているらしきところを、たまに見かけるくらい
(写真もそんな場面です)。
たくさんいるはずなのに滅多に見ない虫、それがハイイロチョッキリなのです。
ただ、台風など強い風が吹いた後は、上から落ちてきたハイイロチョッキリが
下草や低い枝にとまっているかもしれませんので、
気をつけていれば見つかるかもしれませんね。