あまり目にすることが多くない蝶(ちょう)の幼虫ですが、
食草や生態を知っていると比較的簡単に見つけられるものです。
次の写真はクズの葉なのですが、ここにコミスジという蝶の幼虫がいます。
見つけられるでしょうか?
~クズの葉に潜むコミスジの幼虫~
葉の先端の黒くしおれた部分に幼虫が隠れていますよ。
~コミスジの幼虫~
矢印をつけた部分に幼虫がいるのですが、分かりますか?
コミスジの幼虫はクズなどのマメ科植物の葉の先端をかじってしおらせ、
自分の黒っぽい体が目立たないようにしているのです。
続いてはヤマノイモの葉です。
葉が裏返っている部分がありますが、
実はこれ、ダイミョウセセリという蝶の幼虫が作った巣なのです。
~ダイミョウセセリの巣~
これを開けると幼虫が隠れていることがあります。
幼虫は体が大きくなると引っ越しして大きな巣を作るので、
中に何もいないこともあります。
また、サシガメに体液を吸われたのか黒くしなびた幼虫が入っていたり
寄生蜂にやられて幼虫の周りに白い繭が見られることもあります。
外敵に見つからないように工夫していても、
すべての幼虫が無事に育つわけではないのです。
厳しい世界ですね……
最後は分かりやすい、エノキの葉の上にいるアカボシゴマダラの幼虫です。
~アカボシゴマダラの幼虫~
近縁のオオムラサキやゴマダラチョウの幼虫は
大木にいることが多くなかなか見つからないのですが、
アカボシゴマダラの幼虫は1メートル前後の稚樹にも
よくついていますので比較的簡単に見つけることができます。
逃げも隠れもしないのは潔いですが、
よく鳥やアシナガバチに捕まってしまいます。
アカボシゴマダラは本来この辺りにはいない蝶です。
中国産の個体が放蝶され、それが増えてしまっているのです。
いてはいけない虫なのですが、悪いのは虫ではなく人間です。
考えさせられますね。
蝶は種類により、卵で越冬したり、成虫で越冬したりとさまざまです。
今回ご紹介した蝶たちはいずれも幼虫で越冬します。
しばらくすると落ち葉の下などに移動して寒い冬に備えます。
無事に冬を乗り切ることができるでしょうか?