10月になりました。
そろそろ昆虫たちの数も減ってきますが、日中の日が差す時は、セミが鳴き、ギンヤンマも元気に飛んでいます。
そして大きく育ったカマキリたちも目にします。
今日は、ちょっと珍しい(…というか、私自身初めて見ました)カマキリの行動を目撃しました。
池に自ら飛び込んで、まるで入水自殺!?でもするようなカマキリがいました。
一匹のハラビロカマキリが、しらかしの池の石の上に佇んでいました。
どこか生気がないというか、ぼーっとしているようです。
これってもしかして・・・!!
気になってしばらく観察を続けると、ハラビロカマキリは水面を見つめて身を乗り出します。
そして・・・鎌(前足)で水に触れると、そのままスーッと池に入っていきました。
池に入ったカマキリは、鎌を使って犬掻きのようにゆっくり泳ぎます。
しばらく泳ぎ、じっとして、また泳ぐ・・・。どんどん池の中心へと泳いでいきました。
水が得意ではないはずのカマキリ。どうしてこんな命知らずの行動をしたのでしょうか。
この異様とも思える光景は、「ハリガネムシ」の仕業ではないかと思います。
ハリガネムシは、類線形動物門ハリガネムシ綱ハリガネムシ目の生物の総称です。
淡水にすむ水生生物ですが、幼生時代はカマキリなどの体内に寄生して過ごす寄生生物です。
成虫になり、交尾・産卵を行うのは水の中。
寄生していたカマキリなどの宿主の体内から水の中に出なければなりません。
そこで、宿主を操り、水辺に連れて行って、体内から水中に脱出するのです。
泉の森ではハリガネムシを見たことはありませんが、いるところには結構普通に存在し、カマドウマなどの体内からハリガネムシが出てくるのも見たことがあります。
この「宿主を操る」・・・というのも、情報としては知っていましたが、まさか実際にその瞬間を目撃できるとは思っていませんでした。
カマキリが水に飛び込んだときに捕まえて、何かの容器に水を入れて腹部を付ければ、ハリガネムシがにゅるにゅると出てくるところも見れたかもしれません^^;
寄生されたカマキリは、水に誘導されようがされまいが、どのみち死んでしまう運命なんだそうです。
生き物の世界って、本当に不思議がいっぱいで、信じられないようなことが起こるものなんですね。
皆さんも、水辺に佇むカマキリを目撃したら、その後どういう行動をとるのか・・・ぜひ観察してみてください。
そして、泉の森でハリガネムシを見つけたら、ぜひしらかしのいえまでご一報を!
※今回がハリガネムシの仕業だったのかは、あくまで推測です。
※ちなみにハリガネムシは、山や森の水溜りに「そうめん」のような形態でうごめいている生物です。